なぜ25万で買った最新のGR IVを2日で売ったのか②
255000円で買ったGR IVに2日でうんざりして、中古のGRD4とGRD2を買ったという話を書いた。先に届いたのはGRD4の方だった。15年前のカメラである。状態の良いものを選んだのでピカピカで新品のようだった。カバーはGR IV用に買ったものを流用。翌日にはGRD2が届いた。こちらも状態が良く、19年前のカメラなのに新品のような風合い。しかもシャッター回数はわずか1700回程。
先にGRD2のバッテリーを充電し、たぶん13年前に買ったSandiskの32GBのSDHC カードを差し、追加で買ったGR公式のハンドストラップを付け、GR IV用の革ケースに入れて町に出る。近所の公園までわずか数百メートルの距離。なぜか撮りたいものが次々に現れる。気持ちが弾む、レンズを向けると、シャッターを切りたくなる。構図を変えて、何度も撮りなおしたくなる。心が軽い。軽快なリズム。これだ、これなんだ。この感覚が欲しかった。Claudeが言った通りだった、僕が失ったのは自分の中の光なんかじゃなかった。熱量でもなかった。この軽い気持ちだった。シャッタをバシバシ切れる、軽快感そのものだったんだ。
つまり10数年間にわたって、僕は写真が撮れなくなったことを「自分のせい」にしてきたんだけど、単に「カメラのせい」だったんだ。GRD4までの1/1.7という小型のセンサーを積んだコンパクトデジカメ。これが良かったんだ。その後2013年に買い替えた初代GRのAPS-Cサイズのセンサーは確かに高精細だった。だがあの重さは写真を撮る楽しみを僕から急速に奪っていったんだと思う。
もちろんそれは値段にも言えると思う。僕は2008年にこのGRD2を買っているが、当時の雑記を読むと、「買ってすぐは7~8万したので買えず、1年後になって少ない給料の中から5万以下でなんとか買えた」と書いてあった。また、「このカメラを手にしていると、次々に写真が撮りたくなる」とも書いてあった。
僕は初代GRDこそ買わなかったが、GRD2~GRD4~GRは新品で買っている。GRD2は5万以下、GRD3も5万以下、GRD4もおそらく5万前後、GRはかなり上がって9万円前後で買った記憶がある。しかしその後諸物価が高騰して特にGRIII~GRIVにかけての値上げが強烈だった。GRIIIは12万円前後でまだ理解できるが、GRIVは昨年17.5万円で発売、今年の7月からは19万円である。それも抽選販売で買えないので、僕はよくわかってなくて、kakaku.comのお店のものを25.5万円で買った。そして使ってみて、わずか二日で「これには25.5万の価値がない」と感じ、すぐに売ることにした。市場価格が下がる前に。GRで9万円になったときでも高いと感じたのに、25.5万円を払ってしまった自分の感覚の変化にも嫌悪感を感じたし、25.5万のカメラでシャッターを切る重さに、かつての軽快なリズムは生まれなかった。そこには5万の実質価値しか感じなかったし、撮ったものを家に帰りLightroomで見てみて、9万のGRから本質的に進化しているようには思えなかった。(そもそも9万のGRの時点で、GRD3や4より、画素数や高精細感はともかくとして、画としての表現は後退している気がしていたし、それゆえに、僕は2013年に買ったGRをあまり使わないまま2014年頃を最後に写真を撮らなくなってしまったのだと思う。)
結局、僕が手にしたGRIVというカメラは、昨今の異常な株価や都内マンション価格に代表される不動産価格と同様に、実質価値の上にバブルとなった過剰な価値が載せられているのだと感じた。メーカーは生産台数を(おそらく)意図的に絞り、品薄感を煽ることで希少価値を出し、抽選販売でプレミア感を演出する。材料や人件費の高騰は確かにある、しかしそれでも僕はこのGRIVというカメラに10万円台前半は出せても、25.5万という価値はどうやっても出せない。僕は実質価値のない見せかけの虚像にお金を払ったり、そういうものを手に持っていることがすごく嫌いなタイプの人間なんだろう。とにかくGRIVを厄介払いしたかった。自分の手元からいち早く処分してしまいたかった。そして2日後にはオークションに出し、ありがたいことに23.8万円という高価格で買っていただけた。手数料や送料を引くと手取りは21万くらいで、4.5万は損したけれど、いい勉強料だったと思うしかない。
そして21万戻ったうちから13万ほど使って、15年前の状態のいいGRD4を7万円台で、19年前の状態のいいGRD2を4万円で、あとGRIV用の革ケースを追加で1個と、純正革ストラップと、今さらながらSandiskの16GBのSDカードを1枚購入した。併せて約13万円である。残りの8万は貯金に戻した。そして公園まで散歩に行き、わずか1時間で37枚を撮り、確信したのである。実質価値のある買い物をやり直せたことを。
(つづく)